第3話|黒い画面の向こうで、AIが何を考えているのか初めて見えた

前回、AIを使うほど文章は増え、コピーや保存、整理に追われるようになったことを書きました。
文章を作るところまでは、AIがやってくれる。
でも、そのあとに必要な、
コピーする。
保存する。
ファイルを探す。
別の場所へ移す。
そんな作業は、全部私に残っていました。
AIを使えば仕事が楽になると思っていたのに、気づけば前よりパソコンの前にいる。
そんな経験はありませんか。
文章は早く作れるようになった。
アイデアも増えた。
でも、作ったものを整理したり、保存したり、どれを使うか決めたりする時間が増えている。
私も、まさにそうでした。
「AIが、パソコンの中まで動いてくれたらいいのに」
そう思い始めた頃、私はCursorというツールを知りました。
そのとき受けていたAIの講座で、師匠がCursorを使いこなしていたんです。
パソコンの中にあるフォルダを見てもらう。
散らかった資料を整理する。
アプリや仕組みを作る。
AIが、ただ答えるだけではなく、手足となって実際に動いてくれる。
そんな説明を聞いて、
「これなら、コピー地獄から抜け出せるかもしれない」
と思いました。
それに、アプリも作れるという。
「アプリが作れるなら、楽しそう」
最初は、そんな気持ちのほうが大きかったと思います。
開いた瞬間、いきなりハードルが上がった
ところが、実際にCursorを開いてみると、最初に見えたのは真っ黒な画面でした。
そこに英語の文字が、ものすごい速さで流れていく。
何が起きているのか、まったく分からない。
どこを触ればいいのかも分からない。
設定も分からない。
黒い画面に英語が並んでいるだけで、
「これは、パソコンが得意な人のためのもの」
「私には関係のない世界」
と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
私もそうでした。
それまで使っていたChatGPTは、白い画面に日本語で話しかければ、日本語で返してくれるものでした。
でもCursorは、見た瞬間に、
「これは私が使うものではないかもしれない」
と思うくらい、急に難しく見えました。
英語の文字が流れているだけで、何かものすごく専門的なことが起きているように感じる。
コードも分からない。
プログラミングも分からない。
設定を間違えたら、パソコンがおかしくなるのではないか。
大事なファイルを消してしまうのではないか。
そんな不安もありました。
AIに興味はある。
できることが増えるなら使ってみたい。
でも、知らない言葉や黒い画面が出てきた瞬間に、急に自分には無理な気がしてしまう。
新しいAIを使うとき、多くの人が最初につまずくのは、機能ではなく、この「怖そう」「難しそう」という感覚なのかもしれません。
英語の下に、日本語が書かれていた
それでも、講座の中で師匠が実際に使っているところを見ていました。
フォルダを開く。
中にあるファイルを確認する。
必要なものを整理する。
何かを作る。
その様子を見ながら、私は少しずつ画面を追うようになりました。
すると、英語の文字が流れている下に、日本語で説明が出ていることに気づきました。
たとえば、何かを頼んだときに、
この人は何をしたいのか。
そのために、まず何を確認するのか。
どんな方法が考えられるのか。
次に何をしようとしているのか。
そういうことが、日本語で書かれていました。
私は、その部分を読むようになりました。
英語のコードは分からない。
でも、日本語で書かれている考え方なら分かる。
「ああ、今このAIは、まず中身を確認しようとしているんだ」
「いきなり作るのではなく、何が必要かを考えているんだ」
「私がやりたいことを、こう解釈しているんだ」
「だから次に、このファイルを見にいくんだ」
それが読めたとき、黒い画面の見え方が少し変わりました。
全部を理解できなくてもいい。
コードが読めなくても、AIが何をしようとしているのかが分かれば、少し安心できる。
「分からないから使えない」ではなく、
「分かるところから見ていけばいい」
と思えるようになりました。
AIは、いきなり答えを出しているわけではなかった
それまでの私は、AIに何かを頼むと、答えが突然出てくるように感じていました。
文章を頼めば、文章が出てくる。
画像を頼めば、画像が出てくる。
質問をすれば、答えが返ってくる。
便利ではあるけれど、その間に何が起きているのかは分からない。
だから、AIが思っていたものと違う答えを出すと、
「なんで分かってくれないの」
「さっき言ったことを、どうして忘れるの」
と思ってしまう。
私も何度も、AIにそう言っていました。
でもCursorでは、
何を頼まれたのかを確認する。
必要な情報を探す。
どう進めるかを考える。
順番を決める。
実際にファイルを開く。
作業を進める。
そうした流れが見えました。
私はそこで初めて、
AIは、ただ答えを出しているのではなく、頼まれたことを解釈し、手順を考えながら動いている
ということが分かったんです。
そして、AIが違う方向へ進む理由も、少しずつ見えてきました。
頼み方が曖昧なら、AIも何をすればいいか分からない。
必要な情報がなければ、足りない部分を推測する。
見てほしいフォルダが分からなければ、そこにある資料も使えない。
AIが勝手に間違えているように見えても、実はその前に、
「何を見せたか」
「何を伝えたか」
「どこまで任せたか」
という仕組みがあったのです。
AIを使うことより、AIを理解することが始まった
Cursorを使い始めた頃、私はまだアプリをうまく作れたわけではありません。
フォルダの構造も分からない。
設定も分からない。
何をどう頼めばいいのかも分からない。
分からないことばかりでした。
でも、黒い画面の下に出てくる日本語を読むことで、
この指示を出すと、AIはこう考える。
この情報があると、次にこう動く。
曖昧に頼むと、AIはこう解釈する。
そんなことが、少しずつ分かるようになりました。
AIを使っているけれど、なぜうまくいかないのか分からない。
何度説明しても伝わらず、自分の使い方が悪いのではないかと思ってしまう。
そんな人もいると思います。
でも、うまく使えないのは、能力がないからではありません。
AIがどう情報を受け取り、どのように動くのかを、まだ知らないだけかもしれません。
私も、最初から理解していたわけではありません。
使って、つまずいて、思いどおりにならなくて、
「なぜ、こうなるんだろう」
と考える中で、少しずつAIの仕組みを知っていきました。
Cursorとの出会いは、アプリを作るためだけのものではありませんでした。
私にとっては、
AIの中で何が起きているのかを、初めて外から見られた瞬間
だったのだと思います。
次回は、Cursorにパソコンの中のフォルダを整理してもらったときの話を書きます。
一気にたくさんのフォルダができて、何が入っているのか分からなくなった。
でも同時に、自分では整理できなかった過去の資料や記録が、きれいに分けられていった。
そこで私は、チャットで答えるAIと、パソコンの中で実際に動くAIの違いを、さらに深く知ることになります。

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