第4話|何でもできるのに、何を頼めばいいのか分からなかった

Cursorを使うようになって、私は少しずつ、AIがどう考え、どう動いているのかを理解するようになりました。
ChatGPTのように、チャットの中で答えを返すAI。
Cursorのように、パソコンの中にあるフォルダやファイルを見ながら、実際に手を動かせるAI。
同じAIでも、使う場所によってできることが違う。
頼んだことをいきなり魔法のように完成させるのではなく、必要な情報を探し、手順を考え、一つずつ作業を進めている。
そんな仕組みが少しずつ分かってくると、真っ黒な画面に流れる英語も、最初ほど怖くなくなっていきました。
でも、AIがどう動くかを理解できたからといって、すぐに仕事が楽になったわけではありませんでした。
次に私がぶつかったのは、
「何でもできると言われても、何を頼めばいいのか分からない」
という問題でした。
自動化やAIエージェントという言葉が増えてきた
2025年の終わり頃から、私の周りでもClaude Codeの話を聞くことが増えてきました。
AIエージェント。
自動化。
複数のAIやツールをつないで、一つの仕事を進める仕組み。
そんな言葉が、どんどん出てくるようになりました。
私がAIを学んでいた講座では、師匠が以前から、
「この先は、オーケストレーションの時代になる」
と話していました。
人間が、すべてのAIへ一つずつ指示を出すのではない。
人間が全体の方向を決め、パートナーとなるAIが指揮者のような役割を持つ。
その下で、文章を作るAI、調べるAI、画像を作るAI、データを整理するAIが、それぞれの役割を担う。
一人の指揮者と、さまざまな演奏者が、一つの音楽を作るように仕事が進んでいく。
最初にその話を聞いたとき、私は、
「そんな未来が来るとしても、まだ5年くらい先なんだろうな」
と思っていました。
ところが、Cursorを使い、Claude CodeやAIエージェント、自動化という言葉を聞くようになると、
「もう、その未来が始まっているんだ」
と感じました。
AIの進化の速さに、驚きました。
同時に、
「自動化できたら、今度こそ本当に楽になれるかもしれない」
と思うようになりました。
フォルダを作ればいいと言われても、何を作るのか分からない
Claude Codeを使うと、パソコンの中にある資料を見ながら、仕事を進めてもらうことができます。
まずは、仕事に使うフォルダを作る。
そこに資料を入れる。
AIが動くためのルールを、CLAUDE.mdというファイルに書く。
タスクを渡せば、必要な資料を読み、作業を進めてくれる。
仕組みだけを聞くと、とても便利そうでした。
でも実際に始めようとすると、すぐに止まりました。
「まず、プロジェクトのフォルダを作りましょう」
と言われても、
何のプロジェクトを作ればいいのか。
その中で何をしたいのか。
どんな資料を入れるのか。
何を完成させる場所なのか。
それが、自分でもよく分からなかったのです。
たとえば、発信をするためのフォルダなのか。
講座を作るためのフォルダなのか。
お客様の資料を管理するためのフォルダなのか。
自分のこれまでの経験や考えを蓄積するためのフォルダなのか。
仕事には、いろいろなものが混ざっています。
私はそれまで、発信の文章を作ったり、スライドを作ったりすることが中心でした。
簡単なアプリのようなものも作っていましたが、多くはGPTsの中で作っていたので、
「パソコンの中で動くアプリを作る」
と言われても、まだあまりピンと来ていませんでした。
便利なツールは目の前にある。
でも、自分の仕事のどこに使えばいいのかが分からない。
何でもできるからこそ、何から始めればいいのかが分からなかったのです。
CLAUDE.mdに何を書けばいいのかも分からなかった
Claude Codeには、CLAUDE.mdというファイルがあります。
そこに、AIが守るルールや、仕事の進め方、プロジェクトの目的などを書く。
いわば、AIがこの場所でどう働くかを決める憲法のようなものです。
でも、最初の私は、
「そこに何を書けばいいの?」
という状態でした。
私のことを書くのか。
仕事のルールを書くのか。
文章のトーンを書くのか。
フォルダの使い方を書くのか。
AIにしてほしいことを書くのか。
してほしくないことを書くのか。
それまでChatGPTには、その場で話しかけながら修正していました。
「もう少し柔らかくして」
「これは私らしくない」
「前に話したことを使って」
そんなふうに、会話の中で伝えてきました。
だからCLAUDE.mdにも、普通のチャットと同じように、自分の希望を書けば動くのだと思っていました。
でも、自動化をするためには、その場の希望だけでは足りません。
何を見て。
どんな順番で動き。
何を完成とし。
どこへ保存し。
次に何をするのか。
仕事の流れそのものを決める必要があります。
その流れが自分の中で見えていないのに、AIのルールだけを書くことはできませんでした。
とりあえず「良い」と言われたものを入れてみた
それでも私は、AIについて学びながら、
「こういうスキルを入れるといい」
「この設定を使うと便利」
「この仕組みがあると仕事が早くなる」
と聞いたものを、少しずつ試していきました。
スキルを入れてみる。
ルールを追加してみる。
フォルダを増やしてみる。
便利そうな仕組みを取り込んでみる。
でも、世の中で良いと言われているものが、私の仕事にも必要とは限りません。
経営分析に使えるもの。
開発に便利なもの。
データを扱うためのもの。
いろいろ入れても、私が普段しているのは、発信や講座づくり、スライドやLPの制作です。
使う場面がないまま、仕組みだけが増えていくこともありました。
自動化したいと思っている。
便利になりたいとも思っている。
でも、
何を減らしたいのか。
どの仕事をAIに任せたいのか。
何を自分に残したいのか。
それがまだ言葉になっていなかったのです。
Cursorを使っていたことが、最初の土台になった
それでも、まったく何もなかったわけではありません。
Cursorを使っていたことで、パソコンの中にはすでにフォルダがありました。
これまでの資料。
講座の記録。
過去に書いた文章。
アイデアやメモ。
アプリを作るために置いたファイル。
完璧に整理されてはいなくても、AIが見られる形で情報が置かれていました。
そこで私は、まずClaude Codeに、今あるフォルダの中を見てもらいました。
何が入っているのか。
似たものはどこにあるのか。
どんな内容ごとに分けられるのか。
このフォルダは何のために使えるのか。
一つずつ整理してもらいました。
そして、ただ資料を置く場所だったフォルダを、
この中で何をするのか。
どの資料を使うのか。
完成したものをどこへ置くのか。
AIがどう動けばいいのか。
少しずつ、仕事が動くための場所へ変えていきました。
これが、私にとっての自動化の入り口だったと思います。
いきなり仕事を全部自動にしたわけではありません。
まず、AIが仕事をする場所を作る。
その場所に必要な資料を置く。
ルールを決める。
タスクを渡す。
するとClaude Codeが、過去の資料やフォルダの中を見ながら、文章やLP、スライドなどを作ってくれるようになりました。
ようやく私は、
「自動化とは、ボタンを押せば全部終わることではないんだ」
と分かり始めました。
AIが動けるように、仕事の場所と情報と流れを作る。
そこから、少しずつ人の手を減らしていく。
それが自動化だったのです。
でも、作れるようになると、私はまた別の違和感を持つようになりました。
簡単な言葉で頼むだけで、LPができる。
スライドもできる。
アプリも形になる。
最初は、
「こんなものまで作れるなんて、すごい」
と感動していました。
けれど、あるとき、ふと思いました。
これだけ簡単に作れるなら、誰が使っても同じようなものができるのではないか。
次回は、AIが何でも作れるようになったからこそ見えてきた、新しい違和感について書きます。

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